こんにちは、みすずです。
今回は自家製レーズン酵母液を使った「元種(もとだね)」の作り方をご紹介します。

前回の記事ではレーズン酵母の育て方を紹介しましたが、今回はいよいよパン作りの第一歩。

酵母液を元種に育てることで、パンのふくらみや香りが格段に良くなります。
元種でパンの膨らみを安定させる
元種とは、酵母液に強力粉を混ぜて発酵させた中種のこと。
酵母液だけでもパンは作れますが、元種を使うことでパン作りがよりやりやすくなるんです。



元種を作らず、酵母液を仕込み水として直接パン生地に加えて捏ねる方法もありますよ(ストレート法)
元種のメリットは以下の4つ。
- 酵母の力が安定する
- パンの膨らみが良くなる
- 酵母臭がやわらぐ
- 発酵時間が短縮できる



天然酵母パン作りを手軽に試すなら、ストレート法がおすすめ。
酵母液ができあがればすぐに取り掛かれます。



少し日にちが掛かってもいいなら「元種」を作る方が発酵が安定!
天然酵母パンが作りやすくなります。
ストレート法については、以下の記事で説明しています。
>>自家製天然酵母の作り方 | 初心者でも簡単!レーズン酵母の育て方


元種作りの材料
強力粉 合計200g
レーズン酵母液 合計200g
塩 少々
酵母液が足りない場合は水を足使います。



酵母液と強力粉を同量ずつ、3回に分けて加えます。
その都度24時間発酵させるので3日間かかります。
作り方
強力粉と酵母液を同量ずつ加えていきます。
仕込んだ時間が「1日目の朝」になります。
【材料】
酵母液 100g *計量前によく振る
強力粉 100g
必要道具
- 消毒した1リットル程度のガラス容器(蓋つき)
- 消毒したスプーン
消毒したガラス瓶に酵母液と強力粉を入れ、消毒したスプーンでよく混ぜます。


瓶の側面にマスキングテープなどを貼って最初の量に印をつけておくと、どれだけ膨らんだかがわかりやすくなります。
蓋をして、室温に置きます。
テープの印を目安に、2倍以上に膨らんだら消毒したスプーンでかき混ぜ中のガスを抜きます。


再び蓋をして放置。
2倍程度になったら今度は冷蔵庫に入れ翌日まで置きます。





混ぜるタイミング、冷蔵庫に入れるタイミングはお好みで。
私は今回ご紹介したようにやっています。
【材料】
酵母液 50g *計量前によく振る
強力粉 50g
塩 ひとつまみ
塩は発酵しすぎを抑えたり、雑菌の繁殖を抑えたりするために加えます。
やること
- 元種を冷蔵庫から取り出し、消毒したスプーンでよく混ぜる。
- 同量の粉と酵母液、塩ひとつまみを加え、再度よく混ぜる。側面のマスキングテープを現在の元種の位置に貼り直す。
- 室温に置く。マスキングテープの印から2倍に増えたら消毒したスプーンでかき混ぜる。
- 再度室温に置き、再び2倍以上に増えたら冷蔵庫に入れる。


徐々に発酵力が強まります。



2日目にやることは初日と同じです。
【材料】
酵母液 50g *計量前によく振る
強力粉 50g
塩 ひとつまみ


- ステップ2と同じように継ぎ足す。マスキングテープの位置を張り替える。
- 室温で発酵。マスキングテープの位置より、2倍以上に膨らんだら消毒したスプーンでかき混ぜる。
- 再度室温に置き、再び2倍以上に膨らんだら冷蔵庫に入れる。
- 24時間後。しっかりとした膨らみが確認できたら完成!



3日目も、1〜2日目とやることは同じ。
追加する、かき混ぜる、放置で膨らませます。
丸3日経てば完成です。


充分に発酵し、スプーンで持ち上げるとドロっとした粘度があります。



完成はすりおろしたとろろ芋のような感じ。
香りはアルコールのようなほのかな酵母の香り。小さい泡や大きな泡がぷくぷく出ています。


失敗しないための注意点
- 室温は25〜28℃がベスト(夏と冬は気をつけて)
- 異臭・カビが出た場合は破棄
- 継ぎ足し・かき混ぜは必ず消毒したスプーンを使用
元種の保存
- 冷蔵庫で保存し、酵母が元気なうちに使い切る(2週間以内)
- 長期保存したい場合は冷凍も可能(1ヶ月程度)
元種の使い方


出来上がった元種は、パン生地の粉量に対して30〜50%加えて生地作りをします。



例えば、強力粉 200g なら元種は 60〜100g 使用します。
また、冷たいままだと発酵が遅くなるので室温に戻してから使用します。ただこれには例外があり、冷蔵発酵させる生地の場合は冷たいままの元種を使用しても大丈夫です。



元種を使用した天然酵母パンコースがあるホームベーカリーなら、ホームベーカリー任せで食パンを焼くこともできます。
元種法における強力粉選び
天然酵母パンには国産強力粉や準強力粉が向きます。
天然酵母はゆっくり発酵するのでタンパク質含有量が少ない小麦粉の方が、酵母と生地が調和しやすい。仕上がりも良好です。
外国産強力粉はグルテンが非常に強く、天然酵母のゆっくりした発酵では引きが強すぎて発酵の伸びが妨げられることも。
国産小麦や準強力粉はたんぱく量が少なめなので、酵母の力でもしっかり生地が伸びます。
天然酵母は時間をかけて発酵するため、小麦の風味がぐっと引き出されます。
国産小麦はもともと小麦本来の甘みや旨みが強いので、天然酵母の時間をかけた発酵で小麦の風味がしっかり引き出されるんです。
準強力粉(フランスパン専用粉)は中たんぱく。天然酵母パンはもちろん、ハード系パンにも使えます。
順強力粉を使うとクラム(パン生地の中身)はしっとり、クラスト(パンの皮)はパリッとしたパンになります。
粉の種類 | タンパク質量 | 向いている用途例 |
---|---|---|
外国産強力粉 | 12.5〜13.5% | 高加水パン、イーストパン、大型パンなど |
国産強力粉 | 11〜12.5% | 天然酵母パン、山食、ロールパンなど |
準強力粉 | 10.5〜12.5% | 天然酵母パン、フランスパン、ハードパンなど |



私は国産小麦を使用しています。
元種法でパンを作る
元種を使ったシンプルなパンの配合を掲載しておきますね。
材料
国産強力粉 250g
元種 100g
砂糖 お好みで
塩 5g
無塩バター 15g
ぬるま湯 150g
ストレート法の配合はこちら
所要時間(目安)
- 一次発酵:25℃で6〜8時間
- ベンチタイム 15〜30分
- 二次発酵:25℃で1.5〜2時間
- 焼成:200℃〜230℃ (分割なしの場合の焼き時間20〜25分)



ベンチタイムを長めに取ることで、生地が馴染みやすくなります。
まとめ
今回はレーズン酵母から作る元種の作り方をご紹介しました。
酵母液だけでもパンは作れますが、元種を作った方が発酵が安定。少し日にちはかかりますが、元種をじっくり育てて自家製酵母のパン作りを楽しんでくださいね。



酵母の独特な風味はありますが、イースト臭がないのでとてもあっさりとした食べやすいパンになります!
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